発達障害がある子の習い事事情
先日、発達障害の子を持つお母さんと習い事について話しました。
「子どもが習い事をやりたいと言っているけど、発達障害の子にちゃんと対応してくれるかどうかもわからないし、受け入れてくれるのかもわからない。やらせてあげたいけど、想像するだけで色々と大変そう。」
と。
結局、習い事は諦めたようです。
私もそういうことが何度もありました。
やらせてあげたい気持ちはあるんだけど、発達障害等の知識があるかどうかわからない相手に、一から説明して理解してもらう必要があし、1回きりの体験だったとしても対応をちゃんとお願いしておかなければならない。
学校に行かせるだけでも親は大変だったりするのに、さらに習い事でも同じことをしなければならないのか、と。
それを考えると、「じゃあやりたいならやろう!」と気軽に言えなくなってしまいます。周りに迷惑をかけてしまうんじゃないか、などの心配もあります。
発達障害がある子は、放課後は家で過ごすか、放課後等デイサービスを利用するなどして過ごすことが多いと思います。普通の習い事をするのは現状なかなか難しいです。
こんなふうに、発達障害があると様々な教育機会が奪われてしまうと日々感じています。
だけど、発達障害がある子ほど、得意な事や好きな事を伸ばしてあげる必要があると思うので、習い事のような教育機会をなんとかたくさん与えてあげたいと私は思っています。
【場面緘黙症&HSC】娘の習い事体験
そのため私は、娘が興味を持つことがあればなるべくどんどん体験させようと思っています。
習い事も、娘が「これやってみたい!」と言ったら、あれこれ考えずに、即体験の予約をしてしまっています。
もちろん、最初にちゃんとお話して、子どもの状態を理解してもらう事が大事です(ちゃんと理解してもらえなければ、諦めて別の所を探します)。
そして体験してみて、ダメだったら続けなければ良いのです。
日本だと、習い事を始めたらずっと続けなければいけないという意識がありますが(私も小さい頃、やりたくもないのにダラダラ続けていた習い事がありました。ほとんど身についていません)、一度やってみなければ自分に向いているかどうかもわかりません。向いている事は自分で続けたいと思えます。それを見つけることが大事だと思います。
アメリカにいる頃は、3ヶ月くらい毎に更新できるような試しやすい習い事が多くあり、とりあえず色々体験してみて自分に合ったものを見つけやすいなと思いました。
なので、いろいろまずは体験してみて、「これは絶対続けたい」と自分で思えるようなものを見つけてほしいというのが、私の習い事に対する考え方です(こっちだと、入会金とかあったりしてなかなか難しかったりもしますが)。
これまでも、娘はいろいろ習い事の体験に行ってみました。
✐習い事の体験に行ったもの
- バレエ
- スイミング
- ピアノ
- アートスクール
- バイオリン
- 英会話
などなど。
やはり、その習い事自体には興味があるのに、人が大勢いる所が苦手なので、それがネックになってしまってできなかったものが多かったです。そのために、習い事も限られてしまうなと感じています。
だけど、学校以外にも様々な居場所があると知ってほしかったし、いろいろな経験をしてほしいと思っているので、これからも習い事はできるだけどんどん体験させてあげたいと思っています。
発達障害などがあると、学校ではできない所ばかりに注目されてしまい、苦手な部分を克服することに意識が向いてしまいます。でもそこばかりやっていくのは、正直楽しくないと思うしやる気も出ないと思います。
それよりも私は先に得意な事や好きな事を見つけることを優先し、伸ばしてほしいと思っています。
そして、そこから自信を得て、苦手な事にも挑戦した方が克服しやすいのではないかと思っています。
習い事をして良かったこと
色々体験した結果、今の所娘が続けている習い事はピアノです(1年半くらい)。
他の習い事は、やりたい気持ちがあっても緊張して体が動かなくなってしまったり、話せなかったりしてできませんでした。
ピアノは、今後もずっと続けていくかどうかはわかりませんが、やってみて良かったと思っています。
ピアノは、去年帰国して、しばらくしてから習い始めました。
その時通っていた幼稚園に、週一回来てくれていたリトミックの先生でもあり、同じ幼稚園のお友達のお母さんでもある方がご自宅でピアノ教室をされており、そこでレッスンを受けています。
そのため、色々説明せずとも、娘の事も最初からとても良くわかってくれていました。
帰国してこの幼稚園に通い始めてすぐの頃、「ピアノやりたい」と娘が言っていたので、幼稚園のリトミックの先生の所にピアノのレッスンに通えば、先生にも慣れて幼稚園でも過ごしやすくなるだろうし一石二鳥だと思い、場面緘黙症のリハビリも兼ねてピアノを始めました。
その思惑通り、ピアノのレッスンとしてだけでなく、幼稚園の中でそれまでよりも安心して過ごせるようになったり、園の中ではできないことをレッスンの中でまずは1対1でできるようにしてもらったりと、園生活を送る上でもとてもプラスになりました。
場面緘黙症の娘にとっては、家族以外の人と話すこと、自分を表現することの練習にもなっているし、ピアノの後にお友達と遊ぶのも楽しみにしていて、娘にとっては、学校と家以外の居場所になってくれています。
学校の中では誰とも一言も話せず、楽器をひいたり歌を口パクでも歌うことができない娘ですが、ピアノのレッスンでは先生とお話することができ、質問に答えたり、ピアノや他の楽器を演奏したり、たまに歌を歌ったり(これは恥ずかしそうですが)、「おねがいします」「ありがとうございました」のあいさつもすることができています。
もちろん最初からそれができたわけではなく、時間をかけて徐々にできるようになっていきました。
最初はピアノの先生とも話すことができず、「おねがいします」「ありがとうございました」という挨拶も当然のように言えませんでした。
でも、そこから先生が色々考えてくれて、
- 最初は、紙に「おねがいします」「ありがとうございました」と書いたカードを用意してくれて、あいさつの時にそれを選ぶだけ。
- その後、そのカードを見ながら読めるようにし、
- 最終的にカードなしでも「おねがいします」「ありがとうございました」と言えるようになりました(この時はめちゃくちゃ感動しました!)。
こんなふうに徐々にステップアップしていき、だんだんレッスン中も少しずつ先生と話せるようになっていきました。良く知ってくれている先生だからこそ、ここまで対応してくれたのだと思います。
ピアノを習っていなければ、家と幼稚園だけでこういう練習はできなかったと思うので、うちの場合は本当にやって良かったです。
場面緘黙症の場合、大人数は苦手だし、初対面の人の前で話したり動いたりもなかなかできないので、習い事もかなり限られてきます。
でも、もしかしたらできるかもしれないし、それがきっかけで世界が変わるかもしれない。
と私は思っています。
だから私の場合は、娘がやってみたいと言ったものはとりあえず全部体験に行ってやってみてはいます。あとは、もともと知り合いの人がやっていたりマンツーマンでできるような習い事は、娘もやりやすいので、そういう習い事はとりあえず行ってみるだけ行ってみました。
習い事をする時も、まずは場面緘黙症について話して理解してもらわなければならず、それは少し大変ではあります。でも何がハマるのかわからないので、これからもこんなスタンスで興味を持ったことは見逃さず、どんどんやらせてあげる機会を与えていきたいと思っています。
習い事が難しければ、家の中に環境をつくる
あとは、娘の場合、やはり人が大勢いたりするのが苦手なので、外に習いに行かなくても、家の中で好きな事・興味を持った事ができるように、なるべく家の中に環境をつくるようにするのが良いかなと思っています。
娘は絵を描くことが大好きなので、習い事も、アートスクールに一番興味があって、いくつか体験に行ってみました。でも実際行ってみたら、結構ガヤガヤしていて、学校の授業のように課題に沿って絵を描くような感じだったので、娘はあまり楽しむことができませんでした。
これだったらわざわざ習いに行かなくても、家で静かに好きなように好きなだけ絵を描いてた方が娘にとっては楽しそうだな、と思い、家に絵の道具をなるべくそろえて、アートスクールではなく、家で好きにかけるような環境にしてみました。
今の所これで十分で、家に帰ってすぐに絵を描き始め、長い時間集中して書き続けている事も多いです。絵の道具といっても全然大したものはなくて、スケッチブックや絵の具セット、クレヨン、色鉛筆、ペンくらいなんですが、たぶん色々揃えたとしても、アートスクールに毎月お金を払うよりは安いかなと思います。金額面だけでなく、こっちの方が娘にとっては良かったと思います。
まとめ
発達障害等があると、なかなか習い事をさせてあげるのが大変だったりしますが、なるべく興味を持ったものは体験させてあげたり、それが難しい場合は、家でできるように環境を整えたりして、得意なことや好きなことを見つけたり、どんどん伸ばせるようにしていきたいと思っています。
そして、発達障害の子こそ、自分の得意を伸ばせる場所がもっと必要だと思うので、苦手な事の訓練をするような場ではなく、発達障害にも対応してくれる、習い事のように色々な体験ができて、得意を伸ばせる経験ができる場がもっと増えていってくれたら良いなと思っています。
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