このブログにご訪問くださり、ありがとうございます。
現在小1の娘は、3歳後半の頃から場面緘黙症(※)でHSC(※)の気質もとても高いです。
場面緘黙の症状が出始めてからこれまで3年間、ネットや本の情報を読み漁ったり、専門家の所に行って相談したり、医療機関を受診したり、いろいろしてきました。
そして、結論
「確実な治療法はない」
ということがわかりました。
だけど、だからといって放置すれば、よけい症状が悪化したりうつなどの二次的な障害につながる可能性もあります。そのため、できる限りのサポートをする必要があります。
正直、私自身まだ何が正解なのか答えは出ていませんが、これまで3年間娘の場面緘黙症と向き合ってきて、「これはやって良かった」「これはやめておけばよかった」ということは少なからずあります。
今回は、場面緘黙児の子育て4年目の私が、子どもの場面緘黙症を少しずつ克服していくため、家庭や園・学校で今までやってきたことをまとめてみました。
同じように場面緘黙症で悩んでいる当事者や、その家族の方の参考に少しでもなれば幸いです。
場面緘黙症の子を持つ一個人の見解なので、一般的な意見とは異なる部分もあるかもしれません。
まだまだ私も試行錯誤しながらなので、今後もどんどん情報を更新していきたいと思っています。
そして、娘が本来の姿で外でも思いっきり楽しく過ごせる日が来るよう、これからも全力でサポートしていきます。
一緒にがんばりましょう♪
☟詳しいプロフィールはこちら
プロフィール – Happy Mother Project (happy-mother-project.com)
※場面緘黙症・・・家庭ではごく自然に話すことができるのに、園や学校など特定の社会的場面で話せないことが続く症状で、不安症の一つ
※HSC(Highly Sensitive Child)ハイリーセンシティブチャイルド・・・人一倍敏感で、繊細。感受性豊かで傷付きやすい性質を持つ子。5人に1人の割合で存在すると言われている。
娘の場面緘黙の症状について
症状が一番ひどかったとき
うちの娘は、3歳後半頃から場面緘黙症になりました。
場面緘黙症になってすぐの頃(3歳後半~4歳頃)が一番症状がひどく、幼稚園で話せない、思うように動けない以外に次のような症状がありました。
- 園の中で給食が食べられない→何も食べずに帰ってくる日が続きました。
- 園の中で飲み物が飲めない(水筒を持って行っても飲めない)→園の中では一滴も水分をとらないので心配でした。
- 園の中でトイレに行けない→普段家ではしないのに、園の中ではお漏らしをしてしまうことが増えました。
- 園の中で写真が撮れない→人に注目されるのを避けるようになり、写真を撮られるのを嫌がるようになりました。
- 家でも挨拶ができない→それまではできていた「いただきます」などの挨拶が、園だけでなく家の中でもできなくなってしまいました。
- 家でも食べている所を見られるのを嫌がる→家の中でも、私以外の家族がいると「食べている所を見られるのが恥ずかしい」と言って、みんなが食べ終わっていなくなるまで食べなくなりました。
今の症状
今も学校の中では基本的に話すことができず、体育で思うように動けなかったり、音楽で楽器を演奏できなかったりしますが、↑の①~⑥の以前できなかったことは、全てできるようになりました。
その他、今では、
- 習い事では話せる(ピアノの個人レッスン)。
- 朝、学校帰りなど、母も一緒にいると学校の友達と話せることがある。
- お友達と2人だけになった時に、学校の中でもお友達と話せた(2回くらい)。
- 運動会でかけっこができた。
- 学習発表会でみんなの前に出ることができた(話すことはできなかったが、みんなの前に立って、黒板に紙を貼ることができた)。
というように、一番症状がひどかった頃にくらべるとだいぶ良くなったと思います。
これまでやってきたこと、対応など
症状を少しでも良くしようと、これまでいろいろ試してきました。
これまでにやってみて良かったこと、逆に良くなかったこと、正直どっちでもいいこと、それぞれ書いていきたいと思います。
やって良かったこと
ネットや本などで情報収集
最初は場面緘黙症について知識がなく、娘の症状をいろいろ検索しているうちに「場面緘黙症」にたどり着きました。娘がなぜ幼稚園で話せなくなってしまったのかわからなかった時は、どうしたら良いかわからず不安で、娘にも良くない対応をしてしまっていたと思います。
色々と情報を集めることで不安はかなり減り、やるべきことがわかってきました。やはりまずはよく知ることが大切だと思います。とは言え、場面緘黙症についての本はそこまで多くなく、ネットの情報の中にはあまり正しくない情報もあったりします。
◆そんな中で私が一番参考になったと思うのは、こちらの「イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド」という本です。
イラストでわかる子どもの場面緘黙サポートガイド アセスメントと早期対応のための50の指針 [ 金原 洋治 ]
この1冊があれば、場面緘黙症に関する情報は十分得られるんじゃないかと思います。
園や学校との連携の仕方など、細かく書かれていてとても参考になります。
◆また、こちらの「かんもくネット」というサイトも有名です。
かんもくネット~場面緘黙児支援のための情報交換ネットワーク団体~ (kanmoku.org)
場面緘黙症についてよく知らない教育関係者の方がまだまだ多いです。
幼稚園や学校の先生に場面緘黙症について最初に説明する際は、この「かんもくネット」の中にある「場面緘黙リーフレット」を印刷して渡していました。場面緘黙症についてわかりやすく一枚にまとめてあるので、理解してもらいやすいと思います。
専門家の所で相談
ネットや本で色々調べているうちに、場面緘黙症について研究されている教育学の専門家の方のことを知り相談に行きました。家から遠いため2回しか行けていないのですが、そこには子どもと一緒に行き、私が先生と話している間、娘は心理士の方と遊んでいました。悩んでいることについていろいろとアドバイスをいただけたり、メールで相談に乗ってもらう事もできて心強かったです。
また、園や学校に対応をお願いする時、私が言ってもなかなか対応してもらえないことが多かったのですが、相談した際のメールなどを見せて「専門家の意見です」と言った上でお願いすると対応してもらうことができたりしました。医療機関ではなく、また、ここに行ったら治るというものではなくて、どうやって園や学校と連携しサポートしていくか相談したり、アドバイスをもらったりすることができます。
なかなか専門家の方も少なく、予約も多いと思うので必ず相談に乗ってもらえるかどうかわかりませんが、できるなら相談に乗ってもらった方が心強いと思います。
園・学校との連携(園・学校選び)
うちの場合は行く小学校が最初から決まっていたわけではなく、どの学校に入るか決めてから引っ越す予定でした。
そのため、学校を見学し選ぶ段階から娘の症状について詳しく話し、最終的に場面緘黙について理解のある教頭先生と、学校と連携してくれる専門家が近くにいる学校を選びました。そして、入学前から教頭先生に協力していただいて、学校という場所に慣れることができるよう、何度か学校に行かせてもらったりしました。
もし学校を選ぶことができるなら、仲の良い友達がいる学校、もしくは逆に話せない事を知っている子が誰もいない学校など、お子さんが過ごしやすそうな学校を選ぶのが良いと思います。そして学校の先生方に場面緘黙についてよく理解してもらい、事前に対応をちゃんとお願いしておくことが必要です。
習い事など学校(園)以外に居場所をつくる
場面緘黙症を改善していくためには、自分に自信を持つことや得意な事を伸ばすことがとても大事だと思います。習い事の体験など、娘が「やってみたい」と興味を持ったことはどんどんやらせてあげられるようにしました。ただ、やってみたけど結局場面緘黙の症状が出てしまってできなかったということもたくさんあります。そういう時は無理に続けさせようとせず、すぐに辞めた方がいいです。
娘の場合、ずっと続いている習い事はピアノです。ピアノのレッスンの時には、先生と話すことができるようになりました。学校(園)以外の居場所を作ること、そして家以外に話せる場所をどんどん増やしていくことも効果的だと思います。
・習い事についての記事はコチラ☟
発達障害がある子こそ、習い事をさせたい。 – Happy Mother Project (happy-mother-project.com)
場面緘黙の子は、毎日色々な思いを溜め込んで学校から帰ってきます。普段できることが学校ではできなくて自信を失ったり、休み時間教室の中で孤立してしまって寂しい思いをしたり、意地悪されてしまったり・・・。娘も暗い表情で学校から帰ってくることが多いです。
そのため、できるだけ学校以外では、毎日家でたくさん話をしたり、色々な場所に出かけて楽しい経験をしたりなど、学校で失った自信や本来の明るさを回復できるように過ごしてほしいと思っています。
それが学校でできることが理想なのですが、今の所難しいので、学校以外の場所でたくさん自信をつけたり楽しい経験が思いっきりできるよう、自分らしくいられる居場所をたくさん作ってあげたいなと思いながら過ごしています。
やっちゃダメなこと
では逆に、「もしかして場面緘黙症かな?」と思った時にやっちゃいけないことはどんなことでしょうか。
娘に場面緘黙の症状が出始めた頃、まだ何も知識がなかった私がしてしまって「失敗したな」と思うのは次のようなことです。
無理に習い事などを続けさせる
アメリカにいる頃、娘が「バレエやりたい」とずっと言っていたのでバレエのクラスを申し込みました。習い始めて少し経った頃からだんだん場面緘黙の症状が出るようになり、そのうちレッスン中に動かなくなってきました。それでも、まだ場面緘黙について知識がなかった私は、最初に半年分くらい申し込んでしまっていたので「そこまでは続けよう」と言って無理に続けさせてしまいました。
バレエ教室だと動けなくなるので、最初は「なんでやらないの?」と家で何回も練習してみたり、動けないのに発表会にも出させてしまったりと、今思うとひどい対応をしてしまいとても後悔しています。動けなくて立ち尽くしたままだった発表会の後、参加賞としてもらったトロフィーを帰り道地面に投げつけた娘の姿を見て、やっと「辞めよう」と決めました。
習い事や学校など、途中で何かを辞める事は良くないという考えもあるかと思いますが、場面緘黙症の場合、本人がやりたくてもできないことが多いです。不安や緊張のため体が動かなかったり声が出せなかったりして、やりたい気持ちがあってもできる事が限られてしまいます。それは根性論でどうにかなるものではなく、本人のせいではありません。
そのため、できないことを無理に続けさせてはダメで、それをしてしまうと症状が悪化する可能性があります。何か新しい事を始めたら、様子をよく見て、難しそうならすぐに辞める勇気も大切だと思います。
無理に話させる
これもまだ私が場面緘黙に関して何も知識がなかった頃ですが、娘が幼稚園で少しずつ場面緘黙の症状が出始め「どうしたらいいんだろう」と悩んでいた時、幼稚園の中だけでなく、だんだん家の中でもあいさつができなくなってしまいました。家の中ではあいさつ以外は普通に話せるのですが、それまで普通に言っていた「いただきます」「ごちそうさまでした」等のあいさつの言葉だけが言えなくなってしまったのです。
最初は、それまで言えていたのだし家の中なんだから言えるはずだと、「いただきます」を言えるまで食べずに待ったりしていました。それでも言えず、そのまま食事前に1時間くらい経ってしまった時もありました。でも、言おうとしているのに言葉が出てこないような表情の娘を見て、これは何かがおかしいと思い、そこからあいさつを言わせようとするのはやめました。
それからしばらくずっと、あいさつは家でもできないままでした。
今考えると、当時通っていた幼稚園では「ください」と言わないとおやつをもらえず、言えるまで何度も促されて、結局言えず一人だけおやつをもらえなかったりということも多々あったようです。「言うまで食べられないよ」などで無理に言葉を引き出させることは、余計プレッシャーを感じて言えなくさせてしまうのではないかなと思います。
その後、1年くらいしたら家では「いただきます」「ごちそうさま」などのあいさつがまた言えるようになりました。なので、焦らずに待つことも大事かと思います。
家の中でも話せなくなったりすると、このままもっと話せなくなってしまうのではないかと焦りを感じて、無理やり話させようとしてしまいたくなるのですが、うちの場合逆効果でした。あまり深刻にならず、子どもを追い詰めず、言えないときは無理に言わせず、自分がちゃんとあいさつをしている姿を見せ続ければ大丈夫なんじゃないかなと思います。
ここに関して厄介なのは、理解をしてくれていない家族や周囲の人が「ちゃんとあいさつさせなさい」などと何も知らずに言ってくる場合があることです。ストレスを感じるかもしれませんが、普通に説明してもなかなか理解してもらうのは難しいと思うので、先程ご紹介させていただいた「イラストでわかる 子どもの場面緘黙サポートガイド」や「かんもくネット」の資料などを見せて、一度きちんと周囲の人には説明してあげるのが良いかと思います。
やっちゃダメだと思ったことは主にこの2つで、本人もなぜできなくなってしまうかわからないのに、無理に何かをさせようとすることは良くないです。少しずつできるようにすることは大事ですが、高すぎるハードルを用意してしまうと、自信を失ったり、よけい症状がひどくなってしまう可能性もあるので注意した方が良いと思います。そのためには、今どんな状態なのかよく観察し、ちゃんと見極めた上でできそうなことにチャレンジさせていくことが重要だと思っています。
どっちでもよかったこと
医療機関への受診
「場面緘黙症かもしれない」と思っていろいろ調べたり相談したりしていると、「早めに医療機関を受診してください」と言われると思います。
確かに早めに対応することは大事なのですが、私も色々調べてみて、日本で場面緘黙症の治療ができるような医療機関はなかなか見つからないです(もしご存知の方がいたら教えていただきたいです)。
うちは自分でいろいろ調べて場面緘黙症だと確信してからも、医療機関はしばらく受診しておらず、小学校入学前に初めて受診しました。
専門小児科を受診したのですが、特にそこで治療ができるわけではなく、必要であれば診断書出しますよという感じで、病院に行ったからといって何かが変わるわけではありませんでした。
でも、診断書があるというだけで学校の対応が変わるし、診断書がないと支援級に入れなかったりサポートしてもらえない可能性もあるので、その点では一度入学前に行っておくのが良いかもしれません。
ただ、医療関係者であっても場面緘黙についてよく知らない方は多く、別の障害と診断されてしまったことがあるという話も聞いたことがあります。
ですので、受診するなら場面緘黙症に関して詳しい先生に診てもらうか、そうでなかった場合は参考程度にとどめておくのが良いのではないかと思っています。
これからやろうと思っていること
場面緘黙症を克服していくために、今後やっていこうと思っている事は以下のとおりです。
支援級+専門家でサポートしてもらう
今は公立小学校の通常クラスに在籍していて、担任の先生にも理解はしていただいていますが、個別の支援は受けられていません。そのため、来年度からは支援級も使用させていただき、行事など困った時にサポートしていただけるようにしたり、人数の少ない支援級の中で、少しずつできることを増やしていけるよう、専門家の方にも来ていただいてスモールステップの取り組みができるようにしていきたいと思っています。
ここぞという時に引っ越し、転校する
引っ越しや転校なども有効に使っていきたいなと思っています。本人にとってマイナスになるようなら環境を変えない方が良いのですが、思い切って環境を変えることで話すきっかけになる場合もあります。娘の状況を見ながら、環境を変えたほうが良さそうだなと思ったら、思い切って変えていこうと思っています。
そして、やはり日本の公立小学校について、特別支援に関しても教育内容に関しても、もっと変わっていってほしいなと思う部分も多いです。色々とリサーチして、フリースクールや小規模校、ホームスクーリングや海外の学校なども視野に入れて考えていきたいと思っています。
アメリカの専門機関で治療を受ける
日本では場面緘黙症の治療ができる専門機関がなかなか見つかりませんが、アメリカだといくつかあるようです。
◆例えばこちらの「Brave Buddies Program」は、場面緘黙症の子のための治療プログラムです。
Brave Buddies: Helping Kids with Selective Mutism (childmind.org)
数日間の治療プログラムで30万円くらい、最初のカウンセリングだけでも5万くらいと高額なのですが、アメリカでトップの場面緘黙の先生がいるようです。
カウンセリングだけでも受けてみようかなと検討しているところです。もし受けたらこのブログで報告したいと思います。
そしてやはり、日本にこういった機関がないのが残念だなと思います。こういう機関があれば、もっと学校関係者にも理解が広まり、場面緘黙の子が学校でサポートを受けやすくなると思います。
まとめ
場面緘黙症の治療については、病院に行けばすぐに治るというものでもなく、私も日々試行錯誤しています。ただ、適切な対応をしていけば、少しずつでも症状は改善していくと思っています。
でも少し良くなったかと思ったら、長期休み明けにまた元に戻ってしまったりと、一筋縄ではいかず、長期戦を覚悟しなければなりません。
なかなか周りの理解が得られず、中には「甘やかしてるんじゃないか」などと言ってくるような人もいたりします。でもそのような言葉は気にせず、目の前にいる子どもをちゃんと見てあげて、その時一番良いと思った選択をしていくことが重要だと思います。
私も毎日何が一番良いのだろうかと悩み考えている途中なので、役立つ情報かどうかわかりませんが、同じように悩む方にとって少しでも参考になってくれれば幸いです。
とにかく、自分や子どもが幸せに過ごせることを一番大事にして、頑張っていきましょう♪
コメントを残す